成長。
夫婦げんかを解決したくて、母に話を聞いた。
もう何年も同じ出来事についてけんかしている。
父の実家が変な家で、
父の妹も変な人だった。
私からみた叔母。
叔母は幼稚な人で働いたことがない。この年になるまで親にお金をもらって暮らしている。
実家から出たことがない叔母が嫁いびりをするのは、弱さゆえの自己防衛だった。
母はそれに耐えた。
耐えることはできた。
でも父が許せなかった。
実家に来た途端にその色一色に染まってしまい、助太刀の一つもしない父が許せなかった。
父は実家に来ると普段と様子が変わってしまう。
なぜそうなるのか自分でも分からないらしい。
実家の色に染まると、自分の思考までも制限され、結果的に親の言いなりになってしまうらしい。
そして母は自分の役割を自覚していない父が許せなかった。
どうして味方してくれなかったのか。と、何年も言い続けている。
私はこの年になって、本当の意味でこの問題の本質について分かった気がする。
人間関係の難しさ。
その場で大人の対応をしてやり過ごせても傷跡は残る。
こちらがどんなに我慢しても相手からは何も返って来ない。
一番頼りになるはずの人が、頼りにならない。
なぜ苦労しなければいけないのか。
でも、苦労しなければならない。
いつだって理解っている人が苦労しなければならない。
この世はそれほど甘くない。
我慢しているのはいつだって偉い人。
いつも周りに振り回される。
でも、どんなに振り回されても、自分という軸だけは保つ。
その正しくある自分を保つことが、幸せを実現する鍵になる。
我慢できる人は強い人。その強さは自分を救う力になる。
声をあげてもいい。
でも、声をあげない貴方は本当にえらい。
そういう人は、いつか必ず別の場面で救われる。
そういう人は、この世の有象無象、悲しみ憎しみ、恨み辛み妬み嫉み全てを、
断ち切ることができるのだから。
私はそう考えている。
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ここから本題に入る。
先程話した叔母の話。
叔母は祖母と祖父に甘やかされ、結局働かないで毎日遊び呆けていた。
何不自由ない生活、快適に決まっている。
でも、何かが足りないのにふと気づく。
外部の人に会ってそれは初めて気づく。
例えばそれは兄嫁だった。
働いて、結婚した母と比べて、自分の人生経験の欠如しているのを目の当たりにしただろう。
でも負けを認めたくないから虚勢を張った。
嫌味を言ったり、時には祖母を立てて虎の威を借る狐のように振る舞ってみたり、攻撃するような手紙を送ったり(面と向かっては言えなかったらしい。)逆に甘えたような態度を取ることもあった。
とにかく母が実家に来るたびに執着したらしい。
叔母と祖母はべったりとくっついた関係のまま、それは祖母が亡くなるまで変わらなかった。
祖母が亡くなってから、急に態度が軟化したらしい。少しは目が覚めたのだろうか。
以前よりも普通に喋るだけでなく、顔色を伺ったり、一層甘えて何かと母に親しくしようとしてきた。
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私が言いたかったのは、この数十年、叔母はほとんど成長しなかったということだ。
働かなかったし、結婚もせず、数少ない友達とただ遊び呆けるだけの毎日。
社会というものに、一切触れていないのだ。
人から刺激を受けることも、自分を省みることもしなかった。
成長の時計が、あの時から止まったままなのだ。
毎日遊んで暮らせたら幸せかもしれない。
親と少しの友達とだけ関わっていれば楽かもしれない。
流行を追いかけ続ければ飽きることは無いかもしれない。
でも、それだけなのだ。
自分という器に、何も蓄積されていかない。全ては過ぎ去っていく。
あの頃から時が止まっている。
外部からの刺激を受けることなしに、自分自身を成長させることはできなかった。
何か苦労してその分何かを得る経験が足りなかった。
それを認めてしまうのは、あまりにも恐ろしくて出来なかっただろう。
何十年という怠惰な生活の結果、
俗に言う"子供部屋おばさん"が完成したのだった。
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成長とは何か。苦労とは何か。どうしてする必要があるのか。
経験とは人生の何なのか。
その答えを、見た気がする。
苦労して苦労して、それで得た成長で幸せを掴む。
成長をしない、楽な道の先は、きっと地獄に繋がっている。
この反面教師の教訓は私を叱咤激励してくれる。
甘えた気持ちで、気づけば人生を棒に振ってはいけない。
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さて、問題の解決について、私はそのうち父と話そうと思う。
母のことを、理解できる範囲で、分かってもらいたい。
そして父に自分のことも、分かってもらいたい。プライドが許すか分からないけど。
父は今のところ謝るしか出来ず、本質的な話になると段々と精神を圧迫し、分からないと言って逃げる。
母が父に言う"慰められる人になって欲しい"という願望には程遠いけど、
それなりに、自分で自分のことを分かってもらえたら、嬉しい。